=^・^=招き猫ビルを見に行く   通称:神田ねこビル   2002年11月4日

プロローグ
 ネコ好きは猫関連物をコレクションしたり、飾ったりするものですが、建物に直接となると企業や商店の看板以外はなかなかありません。まして招き猫に住んでしまおうなどとは考えてはいても実行は夢のまた夢です。しかし大胆にもビル自体を巨大な招き猫にしてしまった会社があります。しかもそこには住んでいる人がいるようなのです。
 そもそもその存在を知ったのは『猫はどこ?』(林丈二 1996 廣済堂)に掲載されていた写真からです。そこにはまさに巨大な招き猫が写っていたのです。残念ながら横面に描かれた姿はその後、隣に建ったビルのため見られなくなった(当時は空き地だった)と記されています。場所は東京千代田区としかわかりません。写真に写っている情報から場所を特定できるものはないかと探してみると、ビルに入っている会社の看板があります。ただ写真に写っているのは「フラワーデコレーション・・・」までしかわかりません。写っている車もフェンダーミラーの付いた角張ったスタイルでけっこう古そうです。1980年代の初め頃でしょうか。現在もこのビルはあるかどうかわかりません。とりあえずNTTのエンジェルラインで検索してみました。しかしフラワーデコレーションでは検索にかかりません。インターネットでも「招き猫ビル」や「猫ビル」では立花隆の猫ビルは引っかかりますが目的のビルはありません。千代田区をくまなく探査するということも考えましたが、いくら23区でいちばん小さな千代田区といてもビルばかりの区ですからこの作業は想像を絶します。だいたい今も存在するかどうかわかりません。そんなことから気にはしていながらも、その後は捜索は中断したままでした。
 最近になってフッと思いだしたのでものは試しと「ねこまくらぶ」の掲示板に捜索願いを出しました。すぐにねこまさんご本人から古い電話帳で調べてみたらなどのアイデアを頂きました。そして続けさまにねこまさんから「本の写真を見たところ数年前に通ったことがある。おそらくここです。」という情報が届きました。教えてもらったその会社のHPを見ると写真はありませんが『招き猫を型どったかわいいビル・・・』とあるので、まず間違いなさそうです。

招き猫に会いに行く
 ついに見た!
 10月26日土曜日、念願の猫ビルを見に行きました。この日は朝からあいにくの雨で浦和の骨董市はキャンセル。昼ごろになって、雨も小降りになってきたのでビル見学に出発です。須田一丁目の交差点を九段方面に曲がるとすぐ見つかりました。しかし一方通行が多い地区なのでビルの前にはすぐ行けません。横目でビルを見ながらもう一度ぐるっと回って猫ビルの前に到着です。JR神田駅北口のすぐ近くです。(住所は掲載しませんが下記の地図で捜してください。すぐ見つかります。)
                           

 確かに写真で見たとおりだ。感激!!招き猫ビルはたぶん6階建てになっており、1階が店舗、2から4階が作業場や倉庫のような雰囲気です。さらに5・6階の緑に包まれたは部分は奥まっていてよくわかりませんが、ビルの脇には専用階段や郵便受けがあるのでどうもビルのオーナーか社長が住んでいるようです。まさに招き猫に住んでいる日本で唯一の方ではないでしょうか。

 このビルは2階から4階の部分が招き猫になっています。4階の上に赤い耳が突きだし、4階部分の4つの窓のうち上の2枚が目になっています。壁面の赤い鼻の横には三本ずつヒゲが描かれています。この招き猫は右手を挙げてお客さんを招いています。
 なお側面に見られる赤い線は首輪です。先に書いたように残念ながら隣にビルが建ってしまったためほとんど見えなくなってしまいましたが、元々はこの猫は立体的に作られているのです。つまりビルの側面にはネコの横からの姿が描かれた立体構造となっているのです。今でも先の首輪の一部以外に、人ひとりが通れるほどの狭い隙間からのぞき込むと尻尾の赤いリボンのほか尻尾や背中の輪郭がわかります。
 向かって右側の壁面には先にビルが建っていたのかネコの姿はありません。

     
招き猫は6階建ての2階部分から   猫ビル正面
     
猫ビル上半身 猫ビル顔部分 足の間の部分
     
猫ビル2階の招き猫   建設当時の完成イラストあるいは写真   尻尾の赤いリボンが見える


 残念ながら隣のビルに隠されて側面はよくわかりません。前面と側面あわせて立体的にできているのに残念です。しかし隣のビルとの間は人が通れるほどの幅はあるのでなんとか尻尾のリボンはわかります。左の写真はかなり露出オーバーで撮影しているのでかろうじてネコの輪郭の一部がわかります(サイズを縮小しているのでひじょうにわかりづらくなっています)。実際の現場はもっと薄暗いです。自宅に帰ってから気が付いたのですが、ネコのからだ(他の壁面より少し白っぽくなっている)は壁にかいてあるのではなく、少し壁面より低くなっているようです。
 左の写真の中にロールオーバーで出る黄色い線はネコの背中からピンと上に上がり赤いリボンが付いている尻尾の位置を表しています。






   爪のつくり
     壁面の構造がわかる。↓


猫ビルの下には
 ショーウィンドウの前には『江戸の礎石』の立て看板が立っており、ウィンドウには地下を掘ったときに見つかった礎石の写真が掲示してあります。どうやらこのビルを建てるときに見つかったもののようです。礎石以外にもいろいろと遺構が見つかっているようです。そうなるとどうもウィンドウの中に置いてある石はその時掘り出された礎石のようです。掲示してある写真を見ると86年7月14日とあります。そうなるとビルはこのころ建てられたことになります。まさにバブル絶頂期です。このあたりは本来それほど土地が空いている地区ではありません。当時猫ビルの左側が空いていたのは地上げのせいでしょうか。今ではこのブロックでは不似合いな大きなビルが建っています。
 標札に書いてある説明は下記の通りです。なぜか最後の一行の「招き猫ビルはそのような歴史の上に建っています」は削除されていますが、うっすらと読みとれます。

江戸の礎石
このあたりは江戸時代にぎやかな町でした
丸い石は江戸初期の屋敷の礎石です 地下二米余のところに松杭の上に きれいに並べられていました
角石は江戸末期の土蔵の礎石です 地下約 一米のところに松杭の上に松の大木がありその上にありました
松杭は三百有余年の年月地中で朽ちることなく重い礎石を支えていたのです
丸石と角石の間には竹で編んだ 上水の溜井戸がありました (写真をご覧ください)
寛永通宝や下駄 茶碗のかけら 又 たびたびの大火の跡を示す焼けた布なども出てきました
江戸町民のくらしが目に浮かびます
                    「標札の原文」     
『江戸の礎石』の標札     発掘当時の礎石(向かいのビルのタイルが映り込んでいる)
掘り出された礎石(10/27) 翌週はトナカイの毛皮に覆われていた(11/3)


エピローグ
 この報告を書くために結局10月26日・27日・11月3日と3回も猫ビルを見に行ってしまいました。ふだんうろついている近所に猫ビルがあるとは思ってもいませんでした。またこれからも時々見に行きそうです。それにしても猫ビルに住んでいる人はどのような方なのだろうか。ウィンドウの中には猫カレンダーがいっしょに飾られていることからきっとネコ好きな方なのだろう。ぜひこのようなビルと建てたいきさつをうかがってみたいものです。

 それにしてもインターネットの普及と情報量の増加はものすごい速さですね。例の招き猫寺「龍昌寺」も以前は検索にかからなかったのですが、今では私の「ねこれくと」以外でも検索にかかります。この猫ビルもかつては見つからなかったのですが、今では簡単に検索にかかりました。以前調べてわからなかったことも少し年月がたてば案外簡単に情報が得られる可能性があるだけにかつて『疑問』のままになっていたことも定期的に再検索してみる必要がありそうです。


おまけ
 猫ビルの通り(同じブロック)に琴・三味線店があります。そのウィンドウには3匹のネコと1匹の狸がお客を招いています。招き猫は常滑タイプと芸者招きの復刻版、それに高木京子さんの「東京招き猫」です。三味線屋とネコ、なかなかおもしろい組み合わせです。

     
近所の琴・三味線店   そのショウウィンド   神田ネコ
  近所の人達からエサをもらっているようだ