加州猫寺を探る 第4次調査

 余話その1


 加州猫寺の第4次調査を2002年3月29日に実施しました。その報告の前に、以前撮影した状態のよい加州猫の写真がありましたのでその写真と2つほど気が付いたことを書いておきます。

丸金の秘密
 昨年引っ越して、未開封の荷物を整理していたら、ずいぶん前に行った金比羅宮の英文パンフレットが出てきました。処分しようと思って何気なく見るとそこには丸金。「アッ」と思わず言いそうになってしまいました。なぜ気が付かなかったのか。加州猫の丸金の首玉は金比羅権現の丸金におそらく間違いありません。由来の石板にもあった金比羅権現の夢の件です。なぜ今まで気が付かなかったのでしょう。「お金」や「金沢」にあまりにも気を取られ、金比羅権現にまで頭が回らなかったのです。確証はありませんが、おそらく間違いないのではないかと思います。

富山土人形の秘密
 この土人形は富山土人形といわれています。なぜ富山土人形なのかふれている文献はありません。おそらく彩色などから判断されているのでしょう。富山土人形は膠分が多いため顔料が浮いて剥離しているものが多く見受けられます。特に黄色や黒は剥離が激しいようです。現に私が持っている富山土人形はまだ購入して10年たっていませんが、黄色が浮き始めています。
 ところで最近招き猫を展示するためショーケースを買い、移動させているときおもしろいことに気が付きました。渡辺家で制作された招き猫と加州猫の黒の斑点がほとんど同じ位置にあるのです。一般に白い招き猫の黒い斑点は見栄えなどから、頭の上、上げている前足(手)の正面、おろしている前足の正面、上げている手と同じ側の後ろ足の正面、おろしている手と同じ側の後ろ足の側面あるいは正面、この5ヶ所がほぼ定位置となっており、作者によって若干省略されている場合があります。要するに正面から見たときに見えてバランスがよい場所となっているのです。富山土人形もこの法則にあっています。富山土人形にはそれ以外に背中の真ん中に1ヶ所、、そして上げている手の肘あたりに1カ所斑点があります。この上げている手に2ヶ所斑点のある招き猫は手元にある招き猫を見渡してもありません。やはりバランスの点でよくないのでしょう。ところが加州猫には富山土人形と全く同じ7ヶ所に斑点があるのです。招き猫の斑点は似ているようでも作者の個性が出ます。これだけ一致しているのは偶然とは思えません。なお渡辺家の小型の招き猫も大型と全く同じ箇所に斑点があります。もし偶然でないなら渡辺家で制作された可能性もあります。
 富山土人形は福徳など寺社の授与品も多く作っていることから、龍昌寺の授与品を制作しても不自然ではありません。ただ富山土人形を制作していたのは大正当時、渡辺家だけではないので、もう少しつくりなどを調べてみる必要があります。
 

金比羅宮のパンフレット

           
    
手元にあった加州猫の写真
6ヶ所の斑点の位置がわかる。他に背面に1ヶ所ある。
    渡辺家の富山土人形

斑点の位置がすべて一致するのを偶然で片付けられるか