2021年3月28日加筆 | |
2025年6月 3日改訂版 | |
2025年6月 8日再改訂版 |
盛岡 シャトンおよび東家の張り子
種類:紙張り子
制作地:岩手県盛岡市
現制作者:馬場勝彦
分類としては招き猫グッズあるいは創作張り子になるかもしれないが、紙張り子としてよくできているので図鑑の趣旨に従い掲載した。
盛岡にある蕎麦屋の「東家 本店」は招き猫の置いてあるそば屋として当時有名であった。その近所にあったギャラリー&ティールームの「シャトン」で入手したオリジナル張り子。もともとこのシャトンと東家は経営母体は同じでまったく異なるコンセプトで営業していたことになる。駅前店にも招き猫が飾ってあったという。
シャトンは盛岡市内丸に移転してイタリアンレストランとして営業していたが、そのシャトンも東屋本店の近くに建て替えられた商業施設monaka(モナカ)に2024年7月に再度移転した。これで「東家本店」、その隣にある「九十九草」、さらに隣にある「東屋別館」と戻ってきた「シャトン」の4店が中ノ橋に集まったことになる。店のホームページを見ると名前がシャトン(仔ネコ)だけに内丸に移転した当時からやはり猫にこだわりがあったようである。東家本店前に店があった当時使用されていたステンドグラスの看板もmonakaに移転した現在でも壁にはめ込まれて使用されている。蕎麦屋を中心とした東家の3軒も猫にこだわっている。いつごろからだれが猫にこだわっていたのかは不明である。この機会に再度情報を更新し、整理をしておきたいと思う。
その直後、ひょんなことから作者が判明した。四代目社長の馬場勝彦氏であった。張り子は自ら貼ったのかは確認できていないがデザインは馬場氏によるものであった。「馬」も馬場の「馬」であったようだ。描かれた画によっては「ば」のサインが入っている。馬場勝彦氏に関しては最下段に記したのでそちらを参照していただきたい。
盛岡駅から少し離れた盛岡城公園の近くにある |
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現在の東家本店とシャトン |
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東家本店:盛岡市中ノ橋通1−8−3 シャトン:盛岡市中ノ橋通1−6−8 monaka2階 |
訪問した当時(1998)は東家本店でも張り子を販売していたようである。
現在はも張り子が制作・頒布されているかどうかは不明。
1998年当時の盛岡東家本店とシャトン | |||||
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創業明治40年の そば処東屋本店の階段箪笥に並ぶ猫達 当時は駅前店にも猫がいたという この階段ダンスは健在で 招き猫の数はさらに増えているようだ まだデジカメも35万画素の時代だった |
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花巻の古作が並ぶ 六原、伏見に混ざって 目呂二のマネーキーも見える 中野人形の猫子守に見えるのは別作品? 東家のHPを見ると 今でも本店の階段箪笥には 招き猫が飾られている 現在東家は市内にそば処3店 イタリアンレストラン ダイニングバーと出店しているようだ。 猫がさりげなく登場する 東家のホームページ見ると やっぱり猫が好きなんですね。 東家HP 東家インスタグラム中で 店内に猫があることが確認できた |
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当時使われていた看板のステンドグラスは 移転後も入り口のドアに 使われていた 東屋創業99年を記念して開店した ダイニングバー「九十九草」もあるがこちらは 猫があるかどうかはわからない。 ストリートビューを見ていたら 移転前の2011年当時 (それ以前は画像がないので不明) すでにドアにステンドグラスが はめ込まれていた。 現在も建物はそのまま残っており、 店の前に置いてある 丸い石に乗った寝そべった猫もそのままある。 |
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2011年9月 ストリートビューより 張り出していたステンドグラスの 看板は入り口ドアにはめ込まれ、 代わりにのれんが掛かっている |
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看板からドアガラスになった ステンドグラスの猫 ちなみに営業中の看板の猫のデザインは 現在でも使用されている |
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2020年10月 ストリートビューより 2014年に移転している |
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2024年 ストリートビューより 現在もこの猫は健在 かつてステンドグラスの看板が 掛けてあった金具もそのまま おそらく所有者は変わっていないのだろう |
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ストリートビューを見ていて 気がついたのだが 東家別館の入り口や建物の上部にも ステンドグラスがあった |
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移転してもずっと一貫して この猫のデザインが使われている。 シャトンのインスタグラムで 内丸の店で10年続いた ステンドグラスがはめ込まれた入り口ドアや monakaの新店舗での ステンドグラスの使われ方がわかる シャトンのインスタグラムへ |
シャトンの招き猫
和紙を素張りした張り子で耳に黒、黒の斑にオレンジの縁取りがある。画像は左手挙げであるが右手挙げもあったようである。もう少し小型のものもあったようである。底に「馬」の印がある。首と挙げた手の間に穴を開けて赤い布製の首玉が通してある。首玉の尖端には赤い糸の房がある。首たまには金色の小さな鈴が付いている。
「馬」の印が作家を探す手がかりになったが、東家四代目社長の馬場勝彦のデザインであることが判明した。箱や説明書もすべて氏のデザインである。
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左手挙げ | 首玉は手と首の間を通している | |||
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赤い首玉に金の鈴 | 黒の斑にオレンジの縁取り | |||
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左手挙げ 下地は和紙素材のまま 黒の斑にオレンジ色の縁取り 赤い爪に赤い肉球 尻尾は痕跡らしきものがある 布製の赤い首玉に金の鈴 高さ120mm×横80mm×奥行76mm |
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底に印が押してある | ||||
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今回再調査している中でストリートビューで新しい看板を見つけた。この新しい「わんこそば」の看板は2020年代に入ってから新設されたものだった。調べてみると改装のため2022年5月に仮店舗に移っていたが11月に元の場所に戻り営業をしていた。外観は大きくは変わっていないようだ。この看板もその際に新調されたようである。そこに小さく描かれている招き猫は同じ招き猫だった。「馬」の印も入っている。店内にもこの作者である馬場勝彦氏の絵があるようだ。以前このページで「問い合わせればわかるだろうが」と書いたが、実際に訪問するまでもなく作者が判明してしまった。
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2024年撮影ストリートビューより |
その後、店内にはさらに招き猫が増えているようである。ここでは画像はアップしないが検索するといろいろと出てくる。訪問当時、本店階段箪笥の上にあった目呂二のマネーキー猫もレジ脇に写っている画像を見つけ健在が確認できた。隣の創業99年の時にできた「九十九草」や東家別館でも猫にこだわっているようである。玄関前の猫も増えていた。同じようにイタリアンレストランのシャトンでも猫にはこだわっているようだ。
すべて飲食店なので丹念にネット検索をして行くと、訪問者が投稿した本店と系列店に在籍する猫の画像を見ることができる。
どうも2月には「にゃんこそば」もあるらしい。
東家本店ではインスタの発信もしているが、ほとんどの動画が「猫のいる小路」(藍染横丁)の猫たちである。現在の社長も猫好きなのだろうか?
Googleマップで東家本店を検索して、その中にある店の画像を見ていたところ気になる画像をみつけた。店内の360°のパノラマ画像であるが、レジの脇のパンフレットなどが置いてある場所に「馬場勝彦のねこたち」という文字を見つけた。配布しているのか販売しているのかはわからない。2012年の投稿画像。これが作者特定の大きなヒントになった。 張り子デザインや画の作者は購入当時(1998)の社長の馬場勝彦だった。 |
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東家 東家は店の説明にもあるように。 盛岡にあった老舗料亭で板前をしていた東吉が明治40年(1907)に独立して創業。蕎麦に特化したのは三代目からという。現在は五代目馬場暁彦が社長となっている。 |
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馬場勝彦氏について | |||
馬場勝彦(1941−2004) 東家四代目社長で盛岡市民福祉バンク会長、いきいき牧場理事長、盛岡マニラ育英会会長など福祉事業を中心に活動していた 福祉活動のみならず文化活動にも大きく貢献した 市議、県議 永六輔(応援団長)や秋山ちえ子(いきいき村名誉村長)などとも交流があり、落語会やコンサート、講演など盛岡の町づくりや文化のつながりに寄与した 絵が得意で上の「馬場勝彦のねこたち」やいろいろなところに描かれている猫や箸袋など独特の書体を含めてすべて勝彦の作のようである 「いきいき村から(広報誌) 2018年師走号 No.54 (平成28年) No.55 (平成28年) 現在は五代目社長を馬場暁彦が継いでいるが、軸足は盛岡の文化活動においているようだ。いろいろなところで先代勝彦が描いたと思われる画が使用されている |
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東家HP シャトンのHPにもつながっている
東家インスタグラム 地域の猫がたくさん映ってインスタ
シャトン(CHATONS)HP
シャトンのインスタグラム
馬場暁男インスタグラム
参考文献
来る福 招き猫手帖(荒川千尋・板東寛二、1996 情報センター出版局)
ねこグッズ 生活を楽しむシリーズ1(福岡暁良、1998 ビジョン企画出版社)
もりおかのガキ大将(「もりおかのガキ大将」編集委員会、2006 馬場勝彦追悼出版実行委員会)